ペンタクルの5が象徴するキーワード
正位置:物質的な苦悩、困難、貧窮、孤立
逆位置:経済的損失、精神的貧困からの回復
ペンタクルの5の解説・解釈
ペンタクルの5では、貧困にあえいでいるような2人の人物が、吹雪の中を歩いています。首に鈴をぶらさげた人物は松葉杖をついており、もう1人は薄い毛布で寒さを凌ぎながら裸足で歩いています。彼らの後ろには希望や信仰を象徴するような教会の窓の明かりが暖かそうに灯っています。しかし松葉杖をついた人物の首にかけられた鈴は、中世ヨーロッパで「神罰」「呪い」と恐れられた病気に罹患した印であり、誰にも助けを求めることができずに絶望的な時間を過ごしています。

その病気に罹患したら「教会への立ち入り」さえ制限されていたんですって

想像を絶する肉体的、精神的な苦しみですね

差別は恐ろしい
ペンタクルの5から学ぶ【ぶっとび考察】

タロットカードの大アルカナは運命や転機、人生で避けられない出来事や重要な学び、精神的成長など大きなテーマや課題を象徴し、小アルカナは日常の小さな選択や小さな出来事など現実的な人間関係や課題を象徴しているといわれています。
だからこそ小アルカナの1枚1枚を大切に読み解き、日常に潜む小さな気づきを大切にしたいと感じます。
私が小アルカナ「ペンタクルの5」から学んだ、ぶっとんだ「毎日にそっと寄り添う、小さな魔法」をお伝えします。
ペンタクル5と無知・偏見の関係
ペンタクルの5は「困窮」「孤独」「喪失」などを象徴すると言われます。カードに描かれた、雪の中を裸足で歩く人々は、いまとても厳しい状況に置かれていることがわかります。しかし、このカードにはもう一つの視点があります。それは「見えていないもの」への気づきです。
◆時代や環境で変わる価値観
私たちは他者への理解不足や偏見、固定観念、誤った情報などが原因で必要以上に争い、差別をしてしまうことがあります。しかし、時代や環境によって、何が正しいか、何が価値あるものかは変わっていきます。
このカードに出会った時、誰かの偏見や差別に苦しんでいるかもしれません。もしかしたら誰かに無意識的な価値観を押し付けているかもしれません。昭和初期の日本にも、今では軽い感染症の人を家畜と同じ列車に乗せて運んだ、なんて話まであります。
ペンタクル5が示すのは「今は困難でも、見方を変えれば新しい道が開けるかもしれない」というメッセージでもあります。
◆土臭いパチュリが高級な香水に使われる
パチュリという植物の精油の香りは、単体では「土臭い」「古臭い」「墨汁のような」香りと表現されたりします。

お父さんの押し入れの匂い、なんて言われたこともあります!
しかしパチュリは、他の香料との配合により、「エキゾチックで魅惑的な、深みのある精油」へと表現が変わります。その揮発しにくい性質からも有名ブランドの香水に多く使われ、他の香りを引き立てる重要な役割を果たしています。

お父さんの押し入れが高級な香水になるなんて(笑)
◆毒にならないものは薬にもならない
「毒薬変じて薬となる」ように、害をなしているものが一転して有益になったり、ネガティブに見えることが実は大きな成長や気づきをもたらすこともあるのではないでしょうか。
例えば、キツネザルはヤスデの毒を体にこすりつけることで寄生虫を防ぐと言われています。世の中には、少しの毒を含むものが役に立っていることは意外に多くあります。危険だと思う行為が、実は生き延びるために不可欠な行為だったりするのです。
ペンタクル5の示す困難や苦しみは、単に避けるべきものではなく、新しい視点を持つチャンスかもしれません。無知や偏見と向き合うことは怖いこともありますが、その先には新しい可能性が広がっていると思います。
「無知や偏見」—小さな毒を薬に変える
ペンタクル5は「意外な救い」を象徴するカードでもあります。消費社会の中で物に執着しがちな私たちに、物質的な価値を超えた気づきを得るよう促しているのかもしれません。
無意識の偏見、差別やハラスメントは、まず「気付くこと」が大事だといわれていますので、自分を苦しめる小さな無知や偏見に気付き、問い直すことで、無知という小さな毒を薬に変えることができると思います。
小アルカナから学ぶ【未来を変える、小さな魔法】
小アルカナは、日常生活や具体的な状況を象徴するカードだからこそ、私たちの身近な出来事や感情に深く寄り添ってくれる存在だと思います。
派手さや目を引く象徴性では大アルカナに譲る部分があるかもしれませんが、小アルカナの中に隠された、私たちの日々の選択や課題を丁寧にリーディングすることで、その中に秘められたメッセージや可能性を見つけることができると信じています。
私もこれまで、悩みを相談して「大丈夫だよ」や「なんとかなるよ」と言ってもらうと、その瞬間は心の支えになることがありました。しかし、具体的にどう行動すればいいのかは分からず、結局は立ち止まったままでいる自分に気づくことも多くありました。そんな中で、タロットカードの世界の解釈に触れ、少しずつ楽に生きられるような考えが出来るようになりました。
不思議なことに、考え方を変えることで私たちの運命も大きく変わります。
無理なく自分らしい見せ方や立ち振舞いを知ることで、自然と人が寄ってきたり、運が良くなることもあります。どんな困難があっても、無理をせず「大丈夫、なんとかなる」と思えるようになる。それこそが、まさに「日常をやさしく変える小さな魔力」です。そんな技術をお伝えしたいと思っています。
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