【吊るされた男の意味】正位置・逆位置の解釈とキーワード解説

タロットカード吊られた男の意味・解説 大アルカナ解説

タロットカード『12.吊るされた男』の物語

吊るされた男(吊るし人、吊られた男)のカードには、T字型の十字架に逆さまに吊るされた男性が描かれています。この人物は右足の足首をロープで結ばれ、左足は意味ありげ(神の世界と関係する卍/fylfot crossの形)に交差させています。確認はできませんが、おそらく両腕も背中側で縛られているのでしょう。しかし、苦しんでいる様子はあまり感じられず、頭の後ろから神聖な光を放っています。

ライダー版タロットカード-吊られた男

ライダー版(ウェイト=パメラ版)タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、このイラストについて、以下の注目すべき点を3つあげています。

①生贄の木は生きた木で、葉がついている。
②苦しみではなく、深く満たされた表情を表現している。
③全体として、仮死状態の命を暗示しているが、表現したいのは生であり、死ではない。

そして“このカードは、殉教、賢明さ、義務のカードとして呼ばれてきたが、神と宇宙の関係をある側面から表現している”と述べられています。

正位置のキーワードから連想する

吊るされた男のカードが正位置の場合、
犠牲、一時停止、視点を変える、待機、不確実、熟考、などを象徴しています。

このカードは、イエスやイエスを裏切ったユダを表しているとされることもありますが、個人的には、北欧神話の最高神であるオーディンの逸話での説明が好きです。

北欧神話の神オーディンは、天地創造の一端を担った最高神であるにも関わらず、知識や知恵に貪欲な神で、「飲めば詩人になれる」という蜜酒(みつしゅ)を巨人から手に入れるために(自分の片目を犠牲にしてまで)冒険したりするのですが、ある時、新しい魔術や叡智を手に入れたいオーディンは、トリネコの木(もしくは世界樹ユグドラシル)に首をくくり、槍で自分の体を刺す、というとんでもない苦行をしていました。

くらげさん
くらげさん

とんでもない!

その苦行を9日間続けた結果、ルーン文字の秘密を手に入れたといわれています。

そして、この「吊るされた男」は、叡智を手に入れるために自らを犠牲にした神オーディーンの姿にも喩えられます。そう考えると、生命の息吹を感じさせる木も、後光や穏やかな表情も納得がいくと思いませんか?

カラフル三角仕切り

吊るされた男の占い解釈例

金運を占っていた場合

忍耐が必要な時期。状況を受け入れて、今は動かず機を待つ。

恋愛(相手の気持ち)の占い結果

自己犠牲の愛が試される時。献身的につくしてみるのもアリ。

人間関係の占い結果

理解と許しが関係を深める鍵。そっとしておいたほうが良い。

仕事運を占っていた場合

見返りのない仕事や、忍耐力が試される。状況を見守るべき。

YES・NO

イエスかノーかで判断すると….
状況によるでしょう
YES・NO一覧表はこちら

逆位置のキーワードから連想する

吊るされた男のカードが逆位置の場合は、
行き詰まり、無関心、停滞、犠牲の回避、優柔不断、という意味になります。

逆位置の吊された男は、身動きが取れない状態をあなたが望んでいないことを示しています。手も足も出せないその自分の状況を受け入れきれずに、苦しく、もどかしい気持ちが続いているのかもしれません。自分に嘘をついたり取り繕ったりすればするほど、結ばれた縄の痛みを感じるかもしれません。まずは、状況を受け入れ、その先の未来に役立てる経験や知恵を考えましょう。


タロット占いの最中に、カードが逆位置(上下逆さま)で出た場合、そのカードの持っている意味や解釈が変わってきます。一般的には「意味が反転する」「意味が弱まる」「エネルギーが過剰になる」など、さまざまな解釈や理解があります。例えば、「歓喜」という意味の場合には、

正位置反転(逆)弱まる(逆)過剰(逆)
歓喜失望ささやかな喜び陶酔

このように、嬉しさが失望や落胆に変わったり、ちょっとした嬉しさ程度の意味になったり、現実が見えなくなるくらい快楽に浸る、というような可能性を持つカードの解釈になってきます。

逆位置を無視する場合もある
逆位置を使わない占い師さんもいますし、デッキやスプレッドによっても逆位置を無視する場合は多くあります。その場合はカードが「正位置」で持っている意味や解釈をそのまま適用することが多いです。

カラフル三角仕切り

逆位置の吊るされた男の占い解釈例

金運を占っていた場合

物質的な動きが停滞している時期。無理な支出は避け、忍耐が必要。

恋愛(相手の気持ち)の占い結果

進展が見込めず停滞する関係。状況を見守る時間が必要。

人間関係の占い結果

意図的に距離を取る、または停滞している関係。状況の変化を待つべき。

仕事運を占っていた場合

視点を変えて物事を見直す時期。停滞から脱却するためには、内面的な変化が必要。

吊るされた男のカードの問いとインスピレーション

「犠牲や停止」を意味する吊された男は、あなたが次のステップに進む前に、すべてを一時停止しなければならないことを暗示しています。堅苦しい観念や固定概念、昔流行った思考法、積み重なった先入観などを手放してみるときかもしれません。

このカードと出会い「タロット 吊るされた男 意味」など、思わず検索したその瞬間、あなたはどんな気持ちで、どんなことを占っていたのでしょうか?

真剣な答えを求めて?
背中を押してほしくて?
自分の気持ちを確かめたくて?
解釈の答え合わせをしたくて?

もしかすると、あなたがこのページに辿り着いたのは、偶然ではなく、カードが「ちょっと立ち止まって考えてほしい」と、あなたに語りかけているからなのかもしれません。

ならば、カードに代わって私から問いかけさせてください。

あなたは犠牲になることに納得していますか?

吊るされた男のスキルとアドバイス

タロット占いをしている時、「大アルカナ」は私たちに「スキルを問いかけてきている」と思っています。そして、そこでリーディングした問いや技術は、タロット占いを繋いできた人々の百年の知恵であり、人生を生き抜くための至高のアドバイスであると感じています。

では、吊るされた男のカードの持つスキルとは何でしょうか?
それは、「状況を飲み込む技術」だと思うのです。

タロットカード大アルカナ22枚の中でも、「吊るされた男」は特に身動きがとれない状況を表しています。足を結ばれ、頭を下にして逆さになる姿は、無意味で建設的ではない姿に見えますが…。このカードの人物はじっと状況を受け入れて、そこから大事な何かを学ぼうとしているのです。

①「何故身動きがとれないのか」を考えてみませんか…
辛い状況におかれている時、何故自分がこの状況にいるのか考える余裕はないことが多いと思います。しかし、このカードに出会った時、実は進みたい歩みを止めることが、大きな目標に近づくための一歩だったりします。ハングドマンはこの姿で、自分自身を落ち着かせ、もう一度世界を新しい視点で見ようと試みているのです。

②あるがままを受け入れると、心が楽になる。
身動きがとれない時、例えば、友人からの任された任務が思うように進まないとしましょう。そんなとき、無理に完璧を目指さず、取り繕うことをせず、「今できることを、できる範囲でやる」という気持ちを持つだけで、心の重さがすっと軽くなることがあります。

③小さな野心を手放す。
吊るされた男を見ると、思い出すエピソードがあります。それは、昔は全国の小学校に、薪を背負って本を読みながら歩いている銅像があった、「二宮金次郎の話」です。

二宮金次郎(二宮尊徳)は、

世人皆、
聖人は無欲と思へども然ず。
其の実は大欲にして、
其の大は正大なり。


という言葉を残しています。

くらげさん
くらげさん

みんな、「聖人」には欲が無いってイメージを持ってるよね。

くらげさん
くらげさん

でもそれって違うくて、聖人って実は、(世の中を良くしようという)めっちゃビッグなドリームを描いてるのだよ。

くらげさん
くらげさん

って感じですかね?

砕いて解釈すると、そんな感じになると思います。さらに、そこから“凡夫の如きは、小欲の尤(もっと)も小なる物なり”と続けています。これは「凡夫(平凡で愚かな者)の欲は小さすぎる」と、凡人である我々に対して、現代のラップバトルだとかなり強めのパンチラインになりそうなディスをしています。

そして、「学問というものは、この小欲を正大に導く方法をいうのだ」と言われます。

大きな目標を得るために、自分の一部を犠牲にして、停止している、吊られた男、とよく似ていると思いませんか?

この吊るされた男のカードは、身動きがとれない時には「大きな目的のために条件を飲み込み、状況を深く理解し設定すると、新しい視点が見えてくる」と教えてくれています。どんな状況でも、自分の声に耳を注ぎ、大切な気づきを得ていってほしいと思います。