タロットカード、ワンドの世界を悩める晴子さん(仮名)と旅して来た-後編

タロッカードトワンドの世界6-10 心象タロット

前回のワンド5の世界からの続きです。
ワンドの世界の前編はこちら↓

ワンドの6

晴子さんと話していると、いつの間にか若者たちは消えてしまっていた。では次の目的地へ!まだまだ行きましょう~!とワープすると、道らしきところに何やら騒がしい集団。パレードか?晴子さんに「なんだかここも騒がしいですね」と伝えていると、馬に乗った赤い服の青年と、その周りを歩く数人の集団が目の前を通り過ぎようとしていく。

タロットカード_ワンド6

いずれの人々も棒を手に持っているようだ。数えてみると6本。これがワンドの6の世界か。

馬に乗った人物が持つ棒にだけリボンの付いたリースが付いていて、この馬上の人物が特別な存在なのだと思わされる。この隊を率いるリーダーなのだろうか。

パレードの集団がこちらに気づかずに通り過ぎて行ってしまいそうだったので

「こんにちは!何処かからのご帰還ですか?」

と声をかけてみた。

すると返事を待たずに晴子さんが小声で

「あの馬・・・見えますか?作り物ですよね。ハリボテですよね?」

と話しかけてきた。

視力の低い私にはよく見えない距離にいるのですが、確かに言われてみれば馬に精気がないように思えるし・・・いや、前に進んでるのに馬の首だけ横向いてますよね。これハリボテ確定!?そう思っていると馬上の人物が話しかけてきた。

「男達の帰還を願って凱旋の真似事をしております」

若く、柔らかい声に、馬上の人物は女性であると想像がついた。

そして続けざまに

「残された私達の願いは唯ひとつ。戦場の息子や夫が無事に帰還することだけ。私たちは魔女ではありませんが”似るものが似るものを生む”ように古の祈祷師の真似をし、予祝のパレードをしているのです。」

と感情を抑えた声で教えてくれた。

マジか。そんな解説書は見たことないぞ。私はいま自分の妄想の世界に引き込まれているようだ。頭が少しクラクラしていたが自分を落ち着かせるために晴子さんと約束した質問を投げかけた。

他人のことが気になって上手く喋れないことがあります。より良い関係を良い人たちと結ぶにはどうしたら良いと思いますか?

そう投げかけてみると男装した彼女は

「ひとまずあなたは自分が幸せであることを知り、祝うべきです。あなたの思いが叶った時、あなたが平安でいる時、あなた以外にあなたの平和を願う存在がいることに気付き、その幸せのエネルギーに感謝するべきです。」

優しい声でそう言った。

「あなたは肯定されています。あなたは祝福されています。喜びに満ち溢れ、なんの不足がありましょうか。」

そう言いながらゆっくりと姿は消えていき、優しい声と温かいエネルギーが心の中に残った。

気がした。

晴子さんは

「私達一人ひとりが、どこかの何かに喜ばれている存在かもしれないってことですね」

と静かに呟いた。、

ワンドの7

凱旋の予祝一行が遠くに消えていき、ぐわわん、とまた場面が切り替わる。気がつくと私と晴子さんは、少し小高い丘に立っていた。その丘を登ったところに一人の男性がいる。下から突き上げてくる6本の棒を相手に悪戦苦闘しているようだ。

タロットカード_ワンド7

下の人たちの攻撃をかわしたりしながらも、忙しそうに指示を出したりしている。とてもパワフルな人だ。しばらく眺めていたが、いくら待ってても手が空きそうにないので思い切って声をかけてみる。

こんにちはー!突然ですけど、人間関係のコツとか信頼できる人の見抜き方とかありますかー?

そう話しかけるとこちらに気がついた彼は

「おお君か」

という驚きのリアクションをした。

あ!ワンドの2と3の世界にいた赤マントの人だ!

お疲れさまです!めっちゃ忙しそうですね!!うまくいっておられるようで良かったです!てか、めっちゃイケメンですやん!初めて顔を見ました!

そう言うとワンドの7さんは照れたように

「ありがとう。おかげさまでとても忙しくしているよ。ちょっと手を広げ過ぎた気もするけどね・・。そろそろ私一人でここを切り盛りするのは難しいかもしれないけど、なんとか上手くいっているよ。」

その忙しすぎる近況を教えてくれた。

あれ。今日はトレードマークの赤いマントはしてないんですね。仕事中はいつもしてない感じなんですか?と気になったことを問いかけてみる。と。

「この現場を守るのに必死で、最近はそんなオシャレをしてる暇はないよね。左右違う靴を履いてきちゃっても気にしてられない。ちょっと気を抜いたらクレームとかくるし、棒から目を離して盗まれるのも心配だからね。」

「あ。そういえばまだこの前の質問の答えは出せていないようだね。他人の顔色が気になるってことは、自分の意見を否定されたり、人前で恥をかいたりしたくないってことだよね。築き上げた自分のプライドやキャラクターなんかの守りたいものがあるってことだよね?」

「もし、そうだとしたら大丈夫だと思うよ。この欲望ってやつは心の中に無尽蔵に湧いてくるけれど、今はなんとか自分でコントロール出来てるはずだ。強い気持ちさえ持っていれば、君は傷つきながらでもしっかり戦えるから・・」

と言い放ち余韻を残しながら静かに消え始めた。

が、何かを思い出したように晴子さんを見つめてこう言った。

「ちょっとごめん。”もし負けたら取り返しつかないですよね?”って聞いてもらえるかな。消える前に。」

え、、

晴子さん(仮名)
晴子さん(仮名)

も、もし負けたら、取り返しつかなくないですか??


やる前から負けること考えるバカいるかよ!!

ワンドさんはそう叫び、世界は静かに消えてしまった。

占気ユウ
占気ユウ

かっっこいい!!✨アントニオ猪木の名言ですよ!

晴子さん良かったですね! と同意を求めると

「あの人・・・ちゃんと休めてるのかしらね」 と心配そうな声が聞こえた。

ワンドの8

次に目の前に広がった景色は、さっきいた場所にとてもよく似ていた。緑の大地に美しい川が流れている。時間軸だけが変わったのかな。さっきの場所の近くなのかな。と思っていると、わわっと晴子さんの驚く声がして、

晴子さん(仮名)
晴子さん(仮名)

「あそこ、みてください」

と言われた方向に目を向けると、8本の棒がぷかぷかと浮いていた。

タロットカード_ワンド8

わわ!棒が浮いている!!なんだか今にも空に向かって飛んで行きそうな気配を漂わせている。

「あそこに紙が置いてありますよ」

と晴子さんに言われ、畳まれた紙を開いてみる。

“せっかく来てくれたのにごめんね。すごくいい物件があるって聞いたので引っ越す途中です。魔法郵便で棒を配達するところ。危ないから離れててね。PS.自分の直感を信じて動いてみることも必要だよ”

読み終わる頃にぷかぷか浮いていた8本の棒はすごい勢いで飛んで行ってしまった。

ここには誰もいませんでしたね、と晴子さんに話しかけると、

晴子さんは

「行くんでしょ?もう一軒!」

と明るい表情で笑いかけてくれた、

さあ行きましょ、もう一軒!

ワンドの9

ゆっくりと目の前が暗くなる。ちょっぴりノってきた晴子さんを連れて次の目的地へ向かっている。次はワンドの9の世界の筈だ。ワンドの赤マントさんは”できるだけたくさん欲望を集めるのが使命だ”なんて言ってたけど、7本でもしんどそうだったよな。これ以上増えたら少し心配だよな、と思っていると。

周りが明るくなり始め、次第に次の世界が目の前に広がりだした。

タロットカード_ワンド9

目の前には沢山の棒を立てギラギラした目を虚空に向けた男性が立っていた。

恐る恐る近づいてみると、やっぱり丘で忙しそうにしていたあのワンドさんだった。少しだけやつれているようにもみえる。理想的な土地を見つけたから引っ越すって言ってたけど・・・。

なんか狭くないすか、新しい土地。せっかく集めた棒の展示がギュウギュウじゃないですか。

私は挨拶もせずに目の前にいるワンドさんに声をかけた。

「騙された。いろいろ勘違いしてた。せっかく丘から引っ越したのに、めっちゃ狭くて。しばらく途方に暮れていたけれど、たくさんやることがあるからね・・。でも、やっぱり他の人に任せてられないから。俺がやらなきゃ。」

とワンドさんはまた虚空を見つめながら

「たくさん欲望を叶えたけど、まだここが自分のスタート地点のような気もしているんだ。あ、それとユーチューブ始めたんだ。tiktokもね。企画から撮影から編集からまた自分でやらなくちゃいけないことが増えてしまった・・。でも私は必ずやり遂げてみせるから・・」

とやっぱり少しやつれたような表情で、いまだ尽きない今後の野望を教えてくれた。

この想像力とエネルギーはどこから湧いてくるのだろうか。

「またあの質問だろ?」

と、こちらの質問より先に、奥底の火が消えていない眼で話を始めた。

「答えを急いではいけない・・と思うよ。あなたがしっかり向き合ってきたことなら自信を持ってやり遂げられるからね。ゆっくりでいい。あなたが着実に成長していると自信を持てば、周りもきっと認めてくれるよ」

晴子さんにそう言うと、また虚空を見つめ「しっかりな・・」という言葉を合図にワンドの世界はまた静かに消えていった。

ワンドの10

次が最後の場所になる。ワンドの世界もこれでおしまいです、と伝えると晴子さんは無言でうなずいた。ゆっくりと目の前が明るくなり、ワンドの10の景色が少しずつ見えてきた。遠くに街が見える。街に向かって歩き出した私と晴子さんの前に一人の男性が現れた。近づいてみると彼は10本の棒を抱えていた。

タロットカード_ワンド10

だが、何か違和感を感じる。街に行くのにお洒落なマントをしてないからだろうか?それとも髪が金色だからだろうか?なんとなく棒をもっているのが辛そうだからだろうか?そんな違和感の原因をなんとなく探っていると、晴子さんが

「変な持ち方。肩に担いじゃった方が楽に歩けそうなのに」

と疑問を口にした。

たしかに5本ずつでも肩に担いだほうが歩きやすそうだ。あんな変な棒の持ち方をしてるってことは、棒の扱いに慣れてない?それとも、わざと顔を見られないようにしているのか?

まさかこの金髪の男が、ワンドの9さんの棒を無理やり奪ったのではないか!?ワンドの9さんは無事なのだろうか!?そんな考えが頭を巡り、いてもたってもいられなくなった私は、金髪の男に

「おーい。こんにちはー!その棒はどうしたんですかー?いま何をされてるんですかー?」

と声をかけた。

金髪の男は「はあはあ、まじ重いんですけど。よくこんなにまあ集めたもんだな」と独り言を言いながら歩いていたが、こちらの声に気がついて

「街までこの棒を運んでるんです。街で売った方が絶対高く売れますからね。この棒は私のおじさんの持ち物なんですが、、、譲り受けたんです」

と答えた。

果たしてあのワンドさんが、人生をかけて集め、大事に管理していた棒を簡単に譲るだろうか?そうは思えない私はワンドさんに何かあったのか聞いてみた。すると金髪の男は答えた。

「あなたがおじさんの言ってた人ですか。おじさん、質問して消える人がいるってよく話してました。てか僕が子供の頃に見たことありますよね。ほら、あの、みんなで剣闘の練習してた時の」

タロットカード_ワンド5

あっ!あの時の少年の中の一人か(どの子か覚えてないけど・・)。大きくなったんだな。おじさんは今元気にしているのかい?と尋ねてみると、目の前の金髪の男は

「おじさんは旅にでました。創造に溢れたエネルギーが社会的重圧に変わってしまったって。時代が変わり、風向きが変わったって、そう言っていました。そして全ての棒を手放し、私が譲り受けました。これまでもおじさんの手伝いはしていたので、私一人で運用しようかと思っていたのですが、なにせ量が多くて大変で。それで少し、街で売ろうと思って運んでいるんです。やっと街が見えてきたので少しホッとしてたところなんです。」

ひと息に話し終え、そうそうと話をつなげる

「そういえば、おじさんからあなた宛の手紙を預かっています。この棒を持ってると、きっとあなた方が現れるからって」

というと金髪の男は手紙を渡してくれた。

丁寧に折り畳まれた手紙を広げる。

“まだ質問の旅を続けているようだな。俺は今までやりたいようにやってきた。成功するたびに一つ、問題を乗り越える度にまた一つと、アイデアが生まれ野心が芽生える。同時に上手く回り始めた回転を止めないように心を配っておかなきゃならない。終わりのない事を始めてしまったと気がついた時には、もう動きを止めることはできやしない。

でも、行きたい所を見つけたから思い切って手放すことに決めた。今度行く場所にはこの重い足枷は必要なさそうだし。そうだ、忘れていたが質問だったよね?なんだったっけ?まあなんにしても自分の責任でやるんならいいけど、リスクとか考えたほうがいいよね。比較検討ってやつをしたらどうかな。ソードとかに聞いてみたらいいよ”

いやいやワンドさんに聞きたいんですよ、ワンドさんに出会ったんだし、と心の中でツッコミを入れて続きを読む。

“人に好かれたいとか、良い出会いが欲しいとか、それもそれぞれ立派な情熱だよ。野心的なエネルギーだよ。でもね、途中で気がついたんだ。それだけのハズないよねって。美味しいもの食べたいし、可愛い洋服が欲しいし、映画館にも行きたいし家電も買い替えたいし、とかね。もっとたくさんの欲望を持ってるはずだよ。自分の情熱と他人の情熱は大きさも色も形も温度も違う。

だから君達が美味しいものを食べたり、可愛い格好をして映画を見て洗濯機を買ったとしても、人に好かれるわけじゃないってこと。そこを混同して自分の基準だけで人に好かれようとたくさんの努力をしても、なかなか解決しないかもしれないね。そもそもコミュニケーションが苦手なのに、出会いの場を探して婚活サイトやSNSなんかに登録しても今の自分のままじゃ難しいだろ?。だからまず自分の持っている要望や素質を一本一本整理整頓して、問題に集中して向き合うべきなのかな、なんて思ったりしています。”

そんなに間違った努力なんかしてないもんって思うけど、知らず知らず自分の価値観を他人に求めている部分はあるのかもな。

晴子さん(仮名)
晴子さん(仮名)

占気さんはプロレスや俳句のツイートをしてよくすべってますもんね。

占気ユウ
占気ユウ

ぐぐぐ・・

“それとね「それ」を欲しいのは、言い換えると「それを手に入れる体験をしたい」だけなのかもしれないってことにも気がついたんだ。その体験をした自分はどう思うのか、そしてその自分をどう思われたいのか、ってことが最終的に重要じゃないかってね。だから今度はそれを探しに行こうかとも思っています。もしまた会うことがあれば。それまで、元気で。”

そんな言葉で締められた手紙を読み終わると、ワンドの世界はゆっくり消えていき、元の世界に晴子さんと二人で立っていた。


このワンドの旅が晴子さんの問題を答える手がかりになったかは分からない。

恐る恐る晴子さんに尋ねてみると

「解決策はよく分かりませんが、ワンドの世界の方々と触れ合ううちに、なんだか、恐がらずに自分らしいコミュニケーション方法を探してみよう、探してみたい! という思いが溢れてきました。」

そうですね。僕たちもまだまだ試行錯誤していきましょう!

その前に一回、タロット占いやりましょうよー!!

ー 完 ー

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