カップのクイーンの一般的な説明
タロットカードの小アルカナ、カップのスートに属する「クイーン」は、慈愛、感受性、直感を象徴する、最も心優しいカードの一つです。このカップのクイーンは、スートが示す「感情・直感・人間関係」の領域において、成熟した優しさと深い共感性を兼ね備えた人物像を象徴してます。共感と思いやりを持って人をケアすることができ、感情的に安定している存在ともされています。
つまり、このカードは「人の心を受け止め、包み込み、支える」というエネルギーを持ち、それが占い上では「感情の成熟」「共感とケア」「直感の活用」といったテーマとして現れます。
彼女はまた、預言者、霊視能力のような、直感深い直感力と共感力を持っているともいわれています。他者の感情や奥底にある真実を読み取り、それを、愛、芸術、または癒やしといった形で、現実の世界に表現する能力を持っています。
カップのクイーンのカードに描かれた象徴
深い内省、瞑想状態にあるような女性が、海辺（あるいは水の近く）の玉座に座る様子が描かれています。玉座や背景の魚や貝、貝殻、海の生き物のモチーフは、「水＝感情・直感」「海＝無意識・深層心理」を示しており、クイーンの人間関係や愛情、感情の豊かさ、精神的な深さ、神秘的な直感力を暗示しています。
女王の足元が水に直接浸っておらず、石や陸地の上に座っていることが多い点も重要で、「感情の波に飲まれずに立っている」「感情を扱える位置にいる」という意味合いがあります。こうした象徴から、「感情の世界に深くつながりながらも、そこに溺れず、静かに流れを見守る知性と優しさ」を表しています。
ライダー版（ウェイト=パメラ版）タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、「（彼女は）まるでカップの中にヴィジョンを見る者のようだ。しかし、これは彼女の一面に過ぎず、彼女は見るが、また行動もする。そして、その活動こそが彼女の夢を育む。」と、彼女が単なる夢想家ではなく、行動と夢の実行者であることを強調しています。
コートカードは「重要参考人」！？
タロットの世界では、大アルカナが「運命の転機」、小アルカナ（数札）が「日常の具体的な出来事」を示します。
では、コートカード（人物札）はというと、それは、あなたの人生に関与している登場人物、または重要な情報をもたらすキーパーソンを表しています。
時にロールモデルとして、時に反面教師として、人生のヒントを与えてくれる存在の彼・彼女らは、あなたの身近にいる人物かもしれないし、また、主人公自身が黒幕だった映画のように、自分自身を象徴している場合もあります。
コートカードの4つの読み方
コートカードは、次の4つの観点から読むことができます。
① 実際の人物：周囲の特定の人
② 状況：カードのエネルギーが反映した状況
③ 成熟のレベル：エネルギーの段階（ペイジ＝未熟、キング＝成熟）
④ 自分の内面：あなたの本心・今の気持ち
これらの観点から、カップのクイーンを読んでいきましょう。
① 身近な人物としてのカップのクイーン
人物として出た場合、カップのクイーンは、愛情深く、共感力に富んだ女性を指し示します。以前の記事で、私はこのカップのクイーンに「千里眼の母」というあだ名を付けました。
彼女は、人間的に温かくて面倒見の良い人、人の気持ちに気づいてくれる優しさを持っている人で、例えば、あなたが落ち込んでいるとき、誰よりも先に勘付いてそばにいてくれたり、あなたが言葉にしない気持ちを察してフォローしてくれたりするタイプの人です。
もしあなたが友達を占ってあげている場合は、「このカードは、あなたの周りにいる、とても優しくて信頼できる女性を表しています。彼女はあなたの話に心から耳を傾け、適切な共感を示してくれるでしょう。」と具体的な人物像を伝えるとよいとおもいます。そして、「あなたが今頼るべきは、そんな心優しい年上の女性かもしれませんよ」と、アドバイスをしてあげてください。
② 状況としてのカップのクイーン
状況としてこのカードをリーディングする場合、感情的な安定と平和、または創造的な活動を必要とする状況を示しています。
仕事やプロジェクトにおいて、感性・直感・人間的なつながりが鍵になっている場面、例えば、「企画を通じてチームの心が一つになった」「お客様の気持ちを汲むことで信頼が得られた」といった状況です。
また、創造的なインスピレーションが湧きやすく、それを表現するのに最適な時期であることや、恋愛なら付き合い始めてからお互いの気持ちを少しずつ理解し合えてきて、「信頼が育っている」「自分も相手も感情を出しやすくなった」状態を意味しています。
あなたが占う側の場合、「相手の立場や状況も尊重して、落ち着いたペースで進んでいきましょう」と伝えてあげると良いでしょう。
③ 成熟のレベルとしてのカップのクイーン
コートカードには、次のような成長の流れがあります。（※諸説あり）
ペイジ → ナイト → クイーン → キング
カップのクイーンは、感情的な成熟とスピリチュアル世界の理解を示しています。このカードが示す成熟は、「ただ感じるだけでなく、それを他者のために活かせるレベルに達しています。」という段階です。
「感情を抑え冷静に振る舞える」「直感を信じて行動できる」人の象徴ともされています。
つまり、まだ「ただ優しい・ただ感傷的」な段階ではなく、「安定した状態で人と関われる」段階と言えます。
直感と深い共感力をともなった優しさ、を武器にしていい段階です。
④ 自分の内面としてのカップのクイーン
自分自身を占ってこのカードが出たときは、あなたの中に、他者への思いやり・受け止める力・平和な心が目覚めている、というサインです。
例えば、
・近しい人の気持ちが分かるようになってきた
・何か大切なことが起こりそうと感じている
・これまで抑えていた感情を、そろそろ見つめ直してもていいと思えてきた
などの内面の変化です。
もしあなたが占う側の場合、今、クライアントの感受性は非常に冴え渡っています。「自分自身のメンタル的ケアも大切にしながら、夢やふとした閃きをメモに残すなど、内なる声に意識を集中させてみて。」と具体的な行動を促してもよいと思います。
逆位置の意味としてのカップのクイーン
カップのクイーンが逆位置で出たとき、このカードの影の側面が強まります。
具体的には
・精神面での依存
・気分のムラが激しい
・他者の考えに依存しすぎる
・人に対して不誠実になる
・直感を遮ってしまっている
など、共感力が強すぎて「自分の感情が他人に流されてしまい、自分が何を感じているか分からない」状態を表しています。優しさという良い資質が、負担になっている可能性がありますので、まずは自分の感情のケアを優先するようにしましょう。
このカードが出たときのアドバイス
・感じることを恐れないで
・直感や共感は、あなたの強さ
・優しさを武器に変えて
・あなたの心（直感）に従って
今は、人との関わりや感情交流がキーワードです。相手の気持ちを汲みながら、自分の気持ちも大切に。愛情をもって接し、癒しと安らぎを周囲に提供しましょう。
関連するカード
カップのナイト：感情を行動に移す
女教皇：深い直感、知恵、内省
星：癒やし、希望、精神的安らぎ
カップのクイーンは、深い共感力、思いやり、そして無条件の愛を象徴するカードです。「直感」や「癒やし」など、他のカードと共通する部分もありますが、カップのクイーンは、インスピレーションを活かせる安定した状態で「行動を促す優しさ」や「身近なあたたかさ」を表すという側面があります。これを意識してリーディングに取り入れると、より深い理解につながると思います。
まとめ
カップのクイーンは、「感情の深みと直感の静かな知恵を備えた優しき守り手」です。愛と共感、深い直感の力を教えてくれます。
このカードが出たときには、その優しさを惜しみなく周囲に分け与えることで、あなた自身もまた、精神的な豊かさと平和を得られるでしょう。
そして、それを人間関係・仕事・創作といった場面で活かすタイミングが来ていることを教えてくれています。
このカードを通して、相談者自身が「感じることを許し、そしてそれを力に変えていく旅」に出るサポートをすることができます。