タロットカード『16.塔/TOWER』の物語
塔のカードには、岩山の頂上にそびえ立つ高い塔と、落雷により被災した建物から両手を広げて飛び降りている二人の人物が描かれています。おそらく塔の内部から炎上が広がり、その破壊の衝撃から逃れるように飛び降りたのでしょうが、タワーはとても高い岩山の上に建てられており、混乱した判断の先の絶望を感じます。

稲妻が落ちた先から、(節制のカードにも見られた)永遠の命を象徴する「生命の樹」のセフィラ(球体)であるケテルを暗示した王冠が飛び出ています。そして、暗闇の空に、ヘブライ語で神の名前の四文字のひとつであるヨッドの形をした22個の炎(稲妻?)が舞い落ちるように描かれています。22は、大アルカナの枚数と同じ数であり、ケテル(王冠)から始まりマルクト(王国)へと繋がるパス(小径)の数にも対応しています。これはこの現象は偶然に起こったのではなく、神の介入があったことを暗示しています。
ライダー版(ウェイト=パメラ版)タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、この塔を“神の家”や“プルートス(ギリシャ神話の富の神)の城”や“バベルの塔”にたとえています。

プルートスは、自分の判断基準で富を配分してたから、怒ったゼウスから、人を良し悪しを判断できないように盲目にされた神ですね!

富をあげる人を見た目で判断してたのかな。
正位置のキーワードから連想する
塔のカードが正位置の場合、
突然の変化、破壊、混乱、目覚め、トラウマ、災害、などを象徴しています。
タロット占いでこの塔のカードが出たら、予想外の出来事、つまり大きな変化が起こる可能性を覚悟しておいたほうがいいと思います。それは避けられない破壊や混乱をもたらすかもしれません。パンドラの箱から世に放たれた“あらゆる厄災”が、精神的、肉体的に影響を及ぼす出来事が起こるかもしれません。
その変化は固定された習慣や考えを破壊し、混乱を引き起こし、行く手にあるすべてのものを変化させ、新しい芽をもたらしてくれるのかもしれません。

正位置の塔/タワーの占い解釈例
突然の出費や損失に備え、緊急時の資金管理を見直すべき時。
関係の見直しが必要な時期。壊れることで新たな始まりが訪れる可能性も。
衝突や誤解が生じやすい時期。冷静な対応を心がけて。
予期せぬ変化が訪れる暗示。柔軟な対応力が求められる。
イエスかノーかで判断すると….
NOでしょう
☆YES・NO一覧表はこちら
逆位置のキーワードから連想する
塔/タワーのカードが逆位置の場合は、
トラブル回避、避けられない事態の遅れ、変化への抵抗、という意味になります。
逆位置の塔のカードが出たら、予想できる範囲での危機が迫っている可能性があります。その顕在化を避けるために全力を尽くすべきかもしれません。これらの崩壊は、偽りの何かへの依存を断ち切るのに役立つ可能性も秘めています。通常、破壊は痛みを伴いますが、そこから生じる学びは私たちに平和をもたらしてくれます。
タロット占いの最中に、カードが逆位置(上下逆さま)で出た場合、そのカードの持っている意味や解釈が変わってきます。一般的には「意味が反転する」「意味が弱まる」「エネルギーが過剰になる」など、さまざまな解釈や理解があります。例えば、「歓喜」という意味の場合には、
正位置 | 反転(逆) | 弱まる(逆) | 過剰(逆) |
---|---|---|---|
歓喜 | 失望 | ささやかな喜び | 陶酔 |
このように、嬉しさが失望や落胆に変わったり、ちょっとした嬉しさ程度の意味になったり、現実が見えなくなるくらい快楽に浸る、というような可能性を持つカードの解釈になってきます。

逆位置の塔/タワーの占い解釈例
金銭的な衝撃や予期せぬ損失がある時。急な変化に対応する準備が必要。
予期せぬトラブルや破局が起こる可能性。関係の崩壊に備えるべき時。
突然の対立や関係の崩壊。急な変化に戸惑うことになるかもしれません。
職場での大きな問題や衝撃的な変化。状況に適応し、再スタートを切ること。
塔のカードの問いとインスピレーション
タロット占いで出会う塔のカードは、あなたが今、本当の意味で、そして重要な変化の時だという可能性を暗示しています。それは、正位置でも逆位置だとしても、意味は変わらず、あなたに何かしらの心の準備をする時間をくれています。塔のカードは、視覚的も非常に不安を掻き立てられますが。しかし、必ずしも不吉で恐ろしい変化ばかりとは限りません。
このカードと出会い「タロット 塔 意味」など、思わず検索したその瞬間、あなたはどんな気持ちで、どんなことを占っていたのでしょうか?
真剣な答えを求めて?
背中を押してほしくて?
自分の気持ちを確かめたくて?
解釈の答え合わせをしたくて?
もしかすると、あなたがこのページに辿り着いたのは、偶然ではなく、カードが「ちょっと立ち止まって考えてほしい」と、あなたに語りかけているからなのかもしれません。
ならば、カードに代わって私から問いかけさせてください。
あなたがぶっ壊したいものは何ですか?
塔/タワーのスキルとアドバイス
タロット占いをしている時、「大アルカナ」は私たちに「スキルを問いかけてきている」と思っています。そして、そこでリーディングした問いや技術は、タロット占いを繋いできた人々の百年の知恵であり、人生を生き抜くための至高のアドバイスであると感じています。
では、塔のカードの持つスキルとは何でしょうか?
それは、「壊れない技術」だと思うのです。
塔のカードから学ぶ、壊れない技術
タロットの「塔」のカードは、多くの人にとって少し怖いイメージを持たれることが多いです。雷が塔に落ち、人が落ちていく様子は、まるで何か大きな破壊やトラブルを予感させるように見えます。でも、このカードから学ぶべきことは「心を強く持ち、壊れない自分を育てること」なのだと思います。
何かが壊れるとき、それは必ずしも悪いことばかりではありません。塔のカードは「古い価値観や考え方を手放し、新しい自分に生まれ変わるきっかけ」を示しています。たとえば、テストで失敗したり、友達とケンカしてしまったりしたときも、その出来事を自分のすべてが壊れたように思わないでください。壊れることが終わりだとは限りません。
失敗しても自分を責めない
心が壊れないためには、何よりも「失敗しても自分を否定しないこと」が大切だと思います。たとえば、何かに挑戦してうまくいかなかったとき、「私はダメだ」と決めつけるのではなく、「この経験から何を学べるだろう?」と考えてみましょう。塔が示すのは、失敗そのものではなく、その後どう立ち直るかということです。
壊れたものを無理に元通りにしない
もうひとつ大切なのは、「積み重ねたものが壊れてしまったら、無理に元通りにしようとしないこと」です。たとえば、壊れた友情や失ったチャンスを無理に取り戻そうとすると、かえって心が疲れてしまいます。壊れたあとには、新しい道があるかもしれません。塔のカードは、過去にしがみつくのではなく、新しい未来に目を向けることを教えてくれるのだと思います。
災害ではなく、変化の象徴
タロットの生みの親のひとり、アーサー・E・ウェイトは、“私がここに示そうとした象徴からは(災害などの)大惨事的な側面はない”と語っています。つまり、このカードは恐ろしい出来事を予告しているわけではなく、「変化の必要性」を伝えているのです。(気を付けながらも)安心して、自分に必要な変化を受け入れてみましょう。
壊れない心を育てるために
最後に、心が壊れないようにするためのおすすめの方法を紹介します。
・深呼吸をする:気持ちが沈んだりイライラしたりしたら、まずは深く息を吸って、ゆっくり吐きましょう。それだけで気持ちが落ち着きます。
・自分を褒める習慣をつける:毎日ひとつ、自分ができたことを見つけて褒めてみましょう。「今日も学校に行けた」「笑顔であいさつできた」など、小さなことでも大丈夫です。
・信頼できる人に話す:ひとりで抱え込まず、家族や友達に話してみましょう。言葉にするだけで心が軽くなることもあります。(電話相談やカウンセラーに頼ってもいいと思います)
塔のカードは、私たちに「破壊も神の祝福の一部である」と教えてくれる存在なのだと思います。変化を恐れながらも、新しい自分を見つけていきましょう。