タロットカード『13.死神』の物語
死神のカードには旗を持ち、白い馬に乗った黒い鎧の人物が描かれています。この人物の顔を見ると、そこには人間の顔はなく、目の窪んだ灰色の骸骨が鎧を着ているように見えます。そこで、この人物が、人ならざるもの、(定番の大鎌は持っていませんが)命の終わりをシンボル化した死神のカードのモチーフであると分かります。この死神は、生命を意味する神秘の薔薇/ミスティックローズの紋章の入った黒い旗を掲げ、ゆったりと進んでいます。地平線には二本の柱の間に不滅の太陽が輝いています。

地面には王族の男性が死神の後ろで倒れており、若い女性と子供、聖職者が死神の進む先でそれぞれの形でその時が来るのを待っています(子供は好奇心に満ちて、女性は諦めて、聖職者は祈っているように見えます)。
ライダー版(ウェイト=パメラ版)タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、このイラストについて、“(このカードの)死の暗示は、神秘的に理解されるべきものであることは指摘するまでもない”と語り、他にも、“現実的で逃れられない意味は死であるが、象徴に割り当てられた表現は変化と変容である”と、あくまでもこの死のカードが、象徴的な変容であることを説明しています。

恐がらなくていいんですね!
正位置のキーワードから連想する
死神のカードが正位置の場合、
変容、終わり、変化、移行、手放す、解放、などを象徴しています。
この恐ろしげな死神のカードは、タロットカードの中で最も忌避され、誤解されているカードのひとつでしょう。カードのイラストを見るだけで、突然の事故にあったり、心臓が止まってしまったりすることを心配して、「生命の危機がないか?」を確認する方も多くいらっしゃいます。ですが、安心してください。死神のカードは、肉体的な終わりではなく、精神的な終わりを意味しています。むしろ、ずるずると悪い習慣から抜け出せない人にはとてもポジティブなカードだとも言えます。
ウェイトも、“13番目のカードは、(略)復活、創造、再生、など、通常(のカード)よりも優れている”と表現しています。

正位置の死神の占い解釈例
過去の損失から学び、新たなスタートを切る時。
古い関係を終え、新たな愛へ進む暗示。
おもいがけない関係の変化が訪れる時期。
大きな転機。転勤、転職、異動。終わりは新たな始まり。
イエスかノーかで判断すると….
NOでしょう
☆YES・NO一覧表はこちら
逆位置のキーワードから連想する
死神のカードが逆位置の場合は、
変化への恐怖、同じことの繰り返し、変われない、自己否定、という意味になります。
逆位置の死神も、やはり変化に関するものですが、あなたが、過去を手放すことを心配していたり、前進するために必要な変化が何か確信が持てなかったりして、変化することに抵抗していることを示唆しています。変化に抵抗し、過去にしがみつくことは、自分の未来を制限し、同じことを繰り返してしまう状態にある可能性を示しています。恐れを抱いているかもしれませんが、自分が正しいステップを踏んでいると信じて、前進すべき時かもしれません。
タロット占いの最中に、カードが逆位置(上下逆さま)で出た場合、そのカードの持っている意味や解釈が変わってきます。一般的には「意味が反転する」「意味が弱まる」「エネルギーが過剰になる」など、さまざまな解釈や理解があります。例えば、「歓喜」という意味の場合には、
| 正位置 | 反転(逆) | 弱まる(逆) | 過剰(逆) |
|---|---|---|---|
| 歓喜 | 失望 | ささやかな喜び | 陶酔 |
このように、嬉しさが失望や落胆に変わったり、ちょっとした嬉しさ程度の意味になったり、現実が見えなくなるくらい快楽に浸る、というような可能性を持つカードの解釈になってきます。

逆位置の死神の占い解釈例
不要なものを手放し、新しいスタートを切る時期。過去の投資は見直しが必要。
終わりと新しい始まり。関係に変化や決断が必要な時期。
断絶や変化が予測される。関係が終わることを受け入れ、新しいものを受け入れるべき時。
大きな変化や転機が訪れる時期。変化を恐れず、柔軟に対応することが大切。
死神/デスのカードの問いとインスピレーション
死神のカードは、あなたの人生において、 1 つの大きな段階が終わり、新しい段階が始まることを示しています。それは連続ドラマの1シーズンが終わり、次のフェーズの物語が展開される可能性を暗示しています。今までの物語に区切りをつけ、過去は過去として、これから起こることにエネルギーを集中する来たのかもしれません。
このカードと出会い「タロット 死神 意味」など、思わず検索したその瞬間、あなたはどんな気持ちで、どんなことを占っていたのでしょうか?
真剣な答えを求めて?
背中を押してほしくて?
自分の気持ちを確かめたくて?
解釈の答え合わせをしたくて?
もしかすると、あなたがこのページに辿り着いたのは、偶然ではなく、カードが「ちょっと立ち止まって考えてほしい」と、あなたに語りかけているからなのかもしれません。
ならば、カードに代わって私から問いかけさせてください。
あなたは、自分が持っている“終わらせる強さ”を感じていますか?
死神/デスのスキルとアドバイス
タロット占いをしている時、「大アルカナ」は私たちに「スキルを問いかけてきている」と思っています。そして、そこでリーディングした問いや技術は、タロット占いを繋いできた人々の百年の知恵であり、人生を生き抜くための至高のアドバイスであると感じています。
では、死神のカードの持つスキルとは何でしょうか?
それは、「心のゴミ箱を空っぽにする技術」だと思うのです。
私たちの心には、知らず知らずのうちに「心のゴミ」が溜まっていきます。。過去の後悔、終わった関係への未練、言えなかった言葉、叶わなかった夢。どれも最初は大切な思い出や希望だったのに、時間が経つと、少しずつ心のスペースを圧迫していきます。やがてそれは、動きたいのに動けない、前を向きたいのに決心がつかないという、無意識のブレーキとなり、停滞を生み出してしまうのです。
死神のカードが告げるのは”絶望”ではなく”解放”です。
死神のカードは、その“心のゴミ箱”を開いて、「ねえ、これを残しておく必要がある?」と問いかけてくるのです。
パソコンのデスクトップを整理しても、「ゴミ箱フォルダ」に古いデータが溜まったままだと、システム全体の動きが重くなる可能性があるのと同じです。心の中も、もう使わないトラウマや未練を残したままでは、新しい幸運や希望が入る「余白」がなくなってしまいます。
心を空っぽにする、秘密の儀式
とはいえ、人間の心のフォルダには、「一括削除ボタン」なんてありません。パソコンのように一瞬で削除、とはいかないのです。思い出や感情は、時間をかけて変化していくものでもあります。
だから、「空にする」とは、「無理に忘れる」ことではありません。それは「見つめ直す」ことなのだと思います。
たとえば、もう必要ないと分かっているファイルを開いて、「ああ、こういう気持ちだったんだな」と確認してから、そっと閉じる。そこに敬意を払って『今までありがとう』と手放すこと。死神のカードは、その静かな儀式を促しているのです。
悔し涙が出ても、名残惜しさが残っても構いません。大切なのは、「これはもう今の私にはいらない」と、自分の意志で選び直すことです。
今こそ、次のステージへ踏み出すとき
手放すのをためらう「執着心」は、決して悪いものではありません。それは、あなたが「大切に思った証」です。しかし、その優しさが、いつしか自分自身を縛りつける鎖になってしまうこともあります。
小アルカナのカップの8でも少しお話したように「手放すことは、新しいものを手に入れると信じているということ」だと思います。人や物への執着を断ち切ることができれば、気持ちも安定し、余裕と自信を持って過ごせる自分になれる可能性も期待できます。
死神のカードが最後に問いかけるのは、このシンプルな問いです。
“あなたが手放すべきものは何ですか?”
答えが見つからなくても大丈夫です。ただ、この問いを心に留めるだけで、少しずつ変化は訪れるでしょう。手放すことで、あなたの人生はきっと良い方向へ動き始めると、信じています。
未来へと進むためには、過去を過去として認め、手放す潔さが不可欠です。死神が持つ力は、「変化を恐れず、必要なものを潔く断ち切る」という、人生を再構築するためのパワフルなスキルなのです。

