【愚者の意味】正位置・逆位置の解釈とキーワード解説

タロットカード愚者の意味・解説 大アルカナ解説

タロットカード『0.愚者』の物語

愚者は、ルールやマナーなどの常識に縛られない、自由なスピリットや無邪気さを表すカードです。このカードには、太陽に背を向け空を見上げている豪華な服を着た若者が描かれています。彼は、隣で跳ね回る白い犬にも意識を向けず、自分の歩く足元さえ関心がないように軽やかに静止しています。断崖絶壁の前でも、不安や恐怖心は感じられず、むしろ夢心地でいるような爽やかな表情をして歩いているようにも見えます。

ライダー版(ウェイト=パメラ版)タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、彼のことを”彼が高みから飛び降りることになったら、天使が彼を支えようと待っているかのようだ”と表現しています。

タロット・愚者のカード

「一休さん」でおなじみの一休宗純禅師が、「観音様のご加護があれば唐橋から飛び込んでも命は助かるはずだ」と入水自殺をはかろとしたような高潔ささえ感じられます(天の助けか、未遂に終わります)。

白いバラと高価な杖(costly wand)を持った愚者のこの若者、多くの解説書では「目の前の崖に気がついていない」と言われることが多いのですが、はたして、本当に自分の歩いている目の前の道の状況に気がついていないのでしょうか?

それに彼は、どこかの国の王子なのでしょうか?どこから来て、どこへ向かおうとしているのでしょう?何の目的を持って、何を得ようとしているのでしょうか?何かのために、何かを探している?

タロットカードの中でも特に人気の高い「愚者のカード」、私達は、この若者の謎が多い無謀な行動に、どこか憧れ、どこか共感し、魂の根源的なリスペクトを感じてしまうのかもしれません。

正位置のキーワードから連想する

愚者のカードが正位置の場合は、
始まり、自由、無邪気さ、独創性、冒険、自由な精神、自発性、などを象徴しています。

またA・Eウェイトは愚者のことを「経験を求める精神」と表現しています。彼はピーターパンやハックルベリー・フィンのように、自由に憧れ、奔放な冒険をしたいのかもしれません。

正位置の愚者の占い解釈例

金運を占っていた場合

新たなチャンス到来。リスク管理を忘れずに。

恋愛(相手の気持ち)の占い結果

新しい恋の予感。自由な関係性を楽しむ時期。

人間関係の占い結果

先入観を捨て、素直な心で人と接すると吉。

仕事運を占っていた場合

新たな挑戦に最適なタイミング。柔軟な発想が鍵。

YES・NO

イエスかノーかで判断すると….
YESでしょう
YES・NO一覧表はこちら

カラフル三角仕切り

逆位置のキーワードから連想する

愚者が逆位置の場合は、
無謀、不注意、注意力散漫、リスクを冒す、愚か、騙されやすい、退屈、という意味になります。

タロット占いの最中に、カードが逆位置(上下逆さま)で出た場合、そのカードの持っている意味や解釈が変わってきます。一般的には「意味が反転する」「意味が弱まる」「エネルギーが過剰になる」など、さまざまな解釈や理解があります。例えば、「歓喜」という意味の場合には、

正位置反転(逆)弱まる(逆)過剰(逆)
歓喜失望ささやかな喜び陶酔

このように、嬉しさが失望や落胆に変わったり、ちょっとした嬉しさ程度の意味になったり、現実が見えなくなるくらい快楽に浸る、というような可能性を持つカードの解釈になってきます。

逆位置を無視する場合もある
逆位置を使わない占い師さんもいますし、デッキやスプレッドによっても逆位置を無視する場合は多くあります。その場合はカードが「正位置」で持っている意味や解釈をそのまま適用することが多いです。

逆位置の愚者の占い解釈例

金運を占っていた場合

無計画な出費や投資。リスクが高すぎる行動は避けるべき時期。

恋愛(相手の気持ち)の占い結果

恋愛に対して軽率で、真剣さを欠く態度。無責任な行動が関係を乱すことに。

人間関係の占い結果

無鉄砲で誤解を招くこと。新しい出会いに慎重さが必要。

仕事運を占っていた場合

安易にリスクを取ったり、計画なしに始めることが失敗につながる可能性。

カラフル三角仕切り

愚者の問いとインスピレーション

「愚か」を表すこのカードには、一般的な既成概念や、あなたがこれまで経験し、学んできた常識にも、縛られるようなことはありません。

ただ、生まれたままの新鮮な魂の目で、「善」も「悪」も「生」も「死」もなく、純粋にこの世界を見つめています。

あなたがこのカード引いた時、「タロット 愚者 意味」などで検索をした時、どのような気持ちで、どのようなことを占っていたのでしょうか?

その時のあなたの心理状態は分かりませんが、現状に満足しておらず、自分や周りの気持ちが分からなくなっていたり、漠然と未来への不安を感じていたのかもしれません。もしかしたら、「新しいことに挑戦したい気持ち」を潜在的に心に秘めていたのかもしれません。

しかし、偶然、このサイトに辿り着いたあなたに、「愚者のカード」に代わって、私から問いかけさせていただきます。

あなたにとって『自由』とはなんですか?
あなたは今、どんな冒険がしたいですか?

愚者のスキルとアドバイス

タロット占いをしている時、「大アルカナ」は私たちに「スキルを問いかけてきている」と思っています。そして、そこでリーディングした問いや技術は、タロット占いを繋いできた人々の百年の知恵であり、人生を生き抜くための至高のアドバイスであると感じています。

では、愚者の問うスキルとは何でしょうか?
それは、自分にとっての「本当の自由を考える」ことだと思います。以前、自由律俳句の記事にも書いたのですが、愚者のカードに出会い、安易に「もっと自由に過ごそう」なんてアドバイスを見聞きすることがありますが、しかし、「裸で暮らしたい」と、街なかで服を脱いだら捕まりますし、「お金や物に縛られたくない」と、物を壊しお金を燃やしてしまえば、現状のこの世界のルールの中では、とても幸せだとはいい難い、困ってしまう結果になると想像できます。

愚者のカードの若者も、崖から転落すると大怪我をすると思います。しかし、愚かな若者のふりをして、あと一歩の所でとどまっています。彼は本当に愚か者なのでしょうか?愚者のイラストの彼が、「映え」を狙って迷惑なことをしたり、危険な行為をするような現代の若者のような人物だとしたら、世界中のタロットリーダー達にこれほどまで愛され続けるでしょうか?

彼に良識や神の救いやあることを、私達はどこかで祈っているのではないでしょうか?彼の冒険が崖からの転落によって終わらないことを、不思議と私達は知っているのではないでしょうか。自由には責任が伴います。心を解放し、制限を超え、恐れずに未知の世界へ飛び込む勇気は、彼のように無邪気に無鉄砲に振る舞ってみることで、初めて自分の本当の欲望や自由への憧れに気づいたときに生まれるのではないでしょうか。