ペンタクルのペイジの一般的な説明
「ペンタクルのペイジ」は、小アルカナ「ペンタクル(地のエレメント)」のペイジ(見習い)です。地の元素がテーマであるため、物質・現実・安定・仕事・お金・健康など「地に足がついた領域」と関連しています。
「現実的な新しい始まり」「より具体的な学び」「将来への種まき」「堅実で誠実な若者」などを象徴しています。
一般的には、このカードが出ると「何かを始める/基盤を築く」「学び始める/道具を手に入れる」ことや、何かを新しく始めるにあたり、真面目に、そして着実に取り組む姿勢が示されます。
しかし、ライダー版(ウェイト=パメラ版)タロットカードの製作者であるアーサー・エドワード・ウェイトは、「若々しい人物が手の上に浮かぶペンタクルを熱心に見つめている。彼はゆっくりと歩みを進め、周囲の様子にはまるで無関心だ。」と、物質的な事柄に熱心に向き合っているペイジの姿を表現しています。つまりこの若者の「物質的事象に集中するあまり、周りが見えなくなっている」状態を示唆しています。
ペンタクルのペイジのカードに描かれた象徴

このカードには、手の中に浮かぶ一枚のコインをじっと見つめる若者が描かれています。このペイジの若々しい姿は、経験は浅いが意欲がある、という状態を示します。そして、物質的な事柄、お金、仕事、具体的な計画といった現実世界への関心、そして現実化への機会を意味しています。
緑の風景や花咲く地面は、成長・芽吹き・可能性や、豊かさ、実り、安定した土台を示していて、将来的な成長と結果を生み出す準備が整っていることを暗示しています。
遠くに見える山は、これからのチャレンジや継続的な努力も必要になるという暗示です。
コートカードは「重要参考人」!?
タロットの世界では、大アルカナが「運命の転機」、小アルカナ(数札)が「日常の具体的な出来事」を示します。
では、コートカード(人物札)はというと、それは、あなたの人生に関与している登場人物、または重要な情報をもたらすキーパーソンを表しています。
時にロールモデルとして、時に反面教師として、人生のヒントを与えてくれる存在の彼・彼女らは、あなたの身近にいる人物かもしれないし、また、主人公自身が黒幕だった映画のように、自分自身を象徴している場合もあります。
コートカードの4つの読み方
コートカードは、次の4つの観点から読むことができます。
① 実際の人物:周囲の特定の人
② 状況:カードのエネルギーが反映した状況
③ 成熟のレベル:エネルギーの段階(ペイジ=未熟、キング=成熟)
④ 自分の内面:あなたの本心・今の気持ち
これらの観点から、ペンタクルのペイジを解説していきましょう。
① 身近な人物としてのペンタクルのペイジ
「ペンタクルのペイジ」が表す人物は、真面目で几帳面、着実に努力する若者です。以前の記事で、私はこのペンタクルのペイジに「頑張り屋の自然派ボーイ」というあだ名を付けました。現実的で地に足がついており、自分の目標や計画に対して誠実に取り組みます。
この若者(あるいは若い心を持った人)で、現実的・堅実・勉強熱心・忠実という特徴があります。時には少し内気で不器用に見えるかもしれませんが、努力を継続できるメンタルがあり、一度決めたことは最後までやり遂げる信頼できる人柄です。
恋人や恋愛相手としてこのカードが出たなら、お相手は、真面目で、計画的に将来を見据えている人。派手なロマンスよりも、着実に愛を育む堅実なタイプ。まだ大きな実績はないけれど、成長意欲があって、あなたとともに着実に成長していきます。言葉数は少ないかもしれませんが、約束を必ず守り、物質的にも精神的にも安定をもたらしてくれる人でしょう。
恋人や出会いを求めている場合は、不動産、金融、公務員、農業など、安定した基盤に関わる仕事の人や、もしくは学びを始めたばかりの専門職の方(新米教師・研究者・技術職)や安定した職業を目指している人と関わったり、助言をもらうと良いかもしれません。
② 状況としてのペンタクルのペイジ
新しい仕事や学習の機会や具体的な計画など、新しいスタートが始まった状態を意味します。学び・仕事・趣味・プロジェクトなど、まだ芽を出して間もないことに対して、目標達成に向けての基礎固め、学びの時期であり、地道な努力が求められる時です。
恋愛や人間関係の場面には、関係がこれから育っていきそうです。安定・信頼を育むためには、立ち止まって「何を一緒に築くか」の目的を共有するのが吉。焦らずゆっくり、相手との信頼関係を地道に築くことが重要です。
③ 成熟のレベルとしてのペンタクルのペイジ
コートカードには、次のような成長の流れがあります。(※諸説あり)
ペイジ → ナイト → クイーン → キング
このカードは初期の段階(芽吹き〜育ち始め)を示すので、成熟度としては「まだ完成ではないが可能性に満ちている」レベルです。経験は浅いが、将来のための安定した土台作りをしている状態です。
「交際前のお互いの価値観を話している段階」や「将来について少しずつ語り始めたタイミング」、新しいプロジェクトの仲間、学びのグループに参加したばかりの同志との「お互いのライフスタイルを理解しようとしている。」フェーズを暗示しています。安定するよりも、まだ伸びしろがあるというポジティブな解釈もできます。
④ 自分の内面としてのペンタクルのペイジ
自分の内側にこのカードが出たとき、自分の中で「学び始めたい」「実践したい」「新たな基盤を作りたい」という意識が芽生えている状態です。
今は「計画だけ」「思いだけ」ではなく、具体的に手を動かすタイミング。コツコツとした努力が内面で呼びかけられています。漠然とした夢ではなく、具体的な行動や土台作りにエネルギーを注いでいくことが望ましい時といえるでしょう。
逆位置の意味としてのペンタクルのペイジ
逆位置は、ペイジの持つ堅実さ・真面目さが歪んだり、行き詰まったりしていることを示唆します。
・目標が曖昧・そもそも無い
・勉強し始めたけど継続できていない
・気持ちはあるがすぐに飽きてしまう
・すぐ成功すると甘く見て失敗
・楽な状態で停滞している」という状態
このカードの逆位置は、「動きが止まっている」「準備が足りない」「始める時期を逃している」という現実に目を向けるべきサインです。
ペンタクルのペイジが出たときのアドバイス
・小さな一歩を踏み出そう
・学び続ける心を大切に
・現実的な計画を立てる
・急ぎ過ぎず丁寧に
・金運・健康運が良い
具体的なチャンスを見逃さず、目標達成のためのロードマップを作成し、小さなことから実際に行動に移すことがポイントです。
関連するカード
ペンタクルのエース:物質・実践のスタートの瞬間
魔術師:可能性と始まり
愚者: 新しい旅の始まり
ペンタクルのペイジは、新しい始まり、学びへの意欲、そして具体的な機会を象徴するカードです。「はじまり」や「計画」など、他のカードと共通する部分もありますが、ペンタクルのペイジは、より現実的で真面目な学習への姿勢や、着実な努力による成長の可能性という側面があります。これを意識してリーディングに取り入れると、より深い理解につながると思います。
まとめ
「ペンタクルのペイジ」は、現実的・実践的な成長の初期段階を象徴するカードです。新たな学び、土台づくり、目標に向けた第一歩がテーマとなります。このカードが示すのは、まだ完全ではないけれど、うまくいく「始まり」のエネルギーです。大きな成功を収める前の、将来の安定のための大切な基礎固めの時期を示しています。
このカードに出会った時は、目の前にある具体的な機会や、学ぶべき課題に誠実かつ真剣に取り組むことで、あなたは豊かな実りへと続く安定した道を歩み始めることができるでしょう。焦らず、一歩ずつ、その可能性を育んでください。
